子供を放射能汚染食品から守る

検出限界

放射能の汚染食品の表を見ていますと、
欄外に「検出限界××Bq/kg以下」といった表記がなされていることがあります。

科学的な分析方法になじみのない一般人は、
表の数値を見て一喜一憂しますが、
専門家はこういうところにも注意してデータを見ます。

この検出限界というのは、なんでしょうか?

検出限界というのは、その分析装置を使って計測できる値の下限ということです。
検出限界以下(検出されない)のと、放射性物質が存在しないのとは違う
ことに注意しましょう。

どんな分析装置にも計れる最小限度があります。

身近なものでたとえ話をしましょう。
文具店で売られている物差しは1mmまでしか計れません。
でもホームセンターでノギスやマイクロメーターを買えば、直径0.1mmの鉄線を計測できます。
しかしノギスやマイクロメーターウイルスの直径は測れません。

0.1mm の鉄線は、目や手で存在は確認できますが、正確な直径を測れません。
しかしウイルスは目でも確認できませんから、存在自体分かりません。

このように計測装置には、その装置で計れる限度があります。

その限度は、その装置のセンサーの感度の限度、
測定に与える周囲の影響などによるノイズ、測定方法などによって変わってきます。

センサーの感度による違い

センサーの感度は、たとえばGM管やシンチレーションといった、
センサー部の種類や精度が製品によって違ってくる部分です。
数万円から10万前後で売られているガイガーカウンターを並べて使っても、
出てくる値はずいぶん違います。
これはセンサーの感度が大きく関係しています。

測定に与える影響による違い

測定に与える周囲の影響というのは、
たとえば自然放射線をどれだけカットして計測できるかなどです
放射線を可視化する原始的装置の霧箱を見た方は、
自然放射線がたくさん飛んでいるのに驚かれるでしょう。
食品に含まれる放射線量をできるだけ正確に定量的に計ろうとすると、
自然放射線を排除して計らねばなりません。

たとえばホウレンソウを計ったら150Bqだった。こういう大きい値だといいんですが、
1Bqだったらどうでしょう?
自然界に存在する自然放射線まで計測したのかもしれない。
この自然放射線の影響を徹底的に排除しようとすると、結構大型の装置が必要になります。
試料を出し入れするときにも自然界に存在する放射性物質が、
装置の中に入らない用にする必要があります。

測定方法による違い

測定方法というのは、たとえばどれくらい時間をかけて試料を調べるか、などです。
移動しながら空間線量を計るのと、
食品の汚染度を測るのに何十分もかけて大がかりな装置で計るのと、
ハンディタイプの線量計で表面汚染度を測るのでは、値が大きく違ってきます。

核実験が盛んに行われていた頃から、mBq単位で食品の放射能汚染度を計っています。
たぶんそれなりにしっかりした測定器で測っているのでしょう。
お金と時間をかければ、それくらいの精度で計れるので、
検出限界10Bq以下というのはちょっと手抜きかもです。