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ヨウ素131の生物学的半減期が物理的半減期より長いのはなぜ?

(質問)ヨウ素131の生物学的半減期は80日、物理的半減期は8日と聞きました。
物理学的半減期が8日なのに、生物学的半減期が80日と10倍も長い理由が分かりません。
80日までに崩壊して半分よりずっと少なくなってしまわないのでしょうか?

一般の方は、生物学的半減期・物理学的半減期といった言葉だけ聞くと、
このような疑問をお持ちになるのは当然かと思います。

物理学的半減期は、放射性物質が崩壊して他の物質に代わって、
元の物質の量が半分になるまでの期間をいいます。
これは分かりやすいと思います。

生物学的半減期がちょっと難しいですね。
これはその元素が体外へ排出されて半分の量になるまでの期間を指します。
ポイントは、放射性の同位体のことを考えず、安定した元素のことを考えている点です。
「かりに放射性物質が一切崩壊しなければ、生物学的半減期の値の通りに減少していく」
という期間のことだと考えていただければいいかと思います。
いわば理論値の一種です。

そこで両者を考慮した期間を必要です。これが実効半減期(有効半減期)です。
実際に放射性物質が体外で半減する期間のことを指します。

実効半減期は以下の式で表されます。
1/実効半減期=1/物理学的半減期+1/生物学的半減期

この式からヨウ素131の実効半減期Tを求めますと、

1/T=1/8+1/80
T=80/11≒7.27日

となります。

(注):ヨウ素131の生物学的半減期は80日としていますが、
甲状腺で約120日です。その他の臓器で約12日なので、
両者を加味した値ですね。