放射能の汚染食品の表を見ていますと、
欄外に「検出限界××Bq/kg以下」といった表記がなされていることがあります。
科学的な分析方法になじみのない一般人は、
表の数値を見て一喜一憂しますが、
専門家はこういうところにも注意してデータを見ます。
(質問)ヨウ素131の生物学的半減期は80日、物理的半減期は8日と聞きました。
物理学的半減期が8日なのに、生物学的半減期が80日と10倍も長い理由が分かりません。
80日までに崩壊して半分よりずっと少なくなってしまわないのでしょうか?
EUが日本からの輸入食品の放射線検査の許容水準上限を引き下げました。
チェルノブイリの事故があったので、厳しくすると流通に支障が出るため、
以前はもう少し緩めに設定していました。
今回の改定は福島原発の事故を受け、許容水準を日本並みに引き下げ、
日本からの輸入許容基準を厳しくしようという処置のようです。
日本の方が基準が厳しかったんですね。
原発事故で注意すべき放射性核種の物理学的半減期と生物学的半減期の
一覧を表にしておきます。
物理学的半減期は、物質としての半減期のことです。
生物学的半減期は、体内に入った放射性物質が、
人間が生理的に排出する作用も考えた半減期のことです。
実効半減期は.
なお、小数点以下は省いています。
以下に、主な放射性核種の半減期をまとめておきます。
ただし、小数点以下は省いています。
内部被曝で重要なのは物理学的半減期と生物学的半減期について知ることです。
半減期というのは、放射性物質の量が半分になるということです。
物理学的半減期は、放射性物質が半分の量になるまでの期間です。
放射性物質は放射線を出しながら、放射線を出さない物質に変化していきます(これを崩壊または壊変とよびます)。こうして放射性物質の量が減っていきますが、1/2になる期間を、物理学的半減期といいます。物理学的半減期は放射性物質の種類によって違います。
移行係数とは、放射性物質が土中から作物へ吸収される割合を示す値です。これは作物によって違います。
公益財団法人原子力環境整備促進・資金管理センター発行の環境パラメータ・シリーズ1 、「土壌から農作物への放射性物質の移行係数」では次のように定義されています。
福島原発事故で放出された放射性物質のうち、農作物で一番問題になっている元素が放射性ヨウ素131、および放射性セシウム137と134ですね。このうち放射性ヨウ素131は半減期が8日と非常に短いため、事故から約半年経った現在では問題にならないレベルになると思われます。それに対して放射性セシウム134が約2年、137が約30年ですので、こちらの方が問題になってきます。