原発事故で汚染地域にお住まいの妊婦さんや、
これから妊娠しようと思われている方はさぞかし不安でしょう。
ここでは放射線の胎児への影響をまとめてみます。
まず確率的影響と確定的影響に考える必要があります。
確率的影響は放射線被ばくによって生じた遺伝子異常由来の
発癌リスクの上昇と、遺伝的影響(胎児が、その子供に与える影響)です。
確定的影響は、組織・器官が細胞死や機能不全を起こす影響です。
確率的影響によって生じる発癌のリスク係数は成人の2~3倍とされています。
遺伝的影響のリスク係数は成人とほぼ同じでとされています。
被曝していない胎児が20才までにガンになる確率は0.3%。
0.01Gy・0.1Gyの体内被曝した場合はそれぞれ0.4%・0.9%と上昇します。/p>
胎児の生殖細胞が放射線被曝を受けるとDNA損傷し、
胎児の子供へ悪影響をおよぼすリスクが高まりますが、
そのしきい値は確認されていません。
放射線の胎児への影響は、発達段階において大きく異なります(時期特異性)。
時期は
1)着床前期
2)器官形成期
3)胎児期
にわけて考えます。
ちなみに、この時期には妊娠も流産もわからないことがあります。
細胞分裂・細胞分化が進んで、組織や器官のもととなる細胞が作られる期間です。
着床後から受精8週までを指します。この時期に放射線の影響を受けると
奇形がおこることがあります。
しきい線量はマウスでは0.25Gy、人では0.1Gyとされています。
人間の場合預け入れは0.1~0.2Gyとされています。
広島・長崎の原爆投下よる影響の疫学調査では小頭症が報告されています。
この時期のうち、25週までに放射線被ばくを受けると
精神発達遅滞(知恵遅れ)のリスクが高まります。
特に15週までは影響が大きく、しきい線量は0.2~0.4Gyとされています。
胎児期全般を通して、
しきい値0.5~1.0Gyで発達遅延(発育の遅れ)のリスクが高まります。
精神遅滞は8~15週に最も発生し、しきい値は0.12Gy。
IQの低下は0.1Gy以下では臨床的に認められていません。国際放射線防護委員会の1991年の勧告では、8~15週に1Gy照射するとIQが30ポイント低下し、40%に重篤な精神遅滞が発生するとしています。
受精後11日~10週の器官の胎児被曝では奇形発生の可能性があります。ただし0.05Gy未満の被曝では奇形発生率の上昇は確認されていません。
国際放射線防護委員会(ICRP)では、
「胎児が浴びた放射線の総量が100mGy(100mSV)以下では
放射線量から判断して妊娠中絶は正当化されない」という見解があるようです。
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